07. 裁断・縫製
ソファ生地は工房内とは思えない、非常にきれいな空間で保管されています。「裁断・縫製」の工程は、数年前までは木工の作業場などと同じ工房内で作業していたそうですが、ソファカバーの生地に対する扱いをアパレルの製作と同じぐらいの気持ちでデリケートに取り扱うべく、土足禁止の独立した屋内で生地の保管から縫製までを外気に触れることなく一貫して行えるようにとのことで新たに専用建屋を設けたのだそうです。
生地は99%がイタリア製のモノ。天然素材をより多く含む上質な生地にこだわり、厳しい目でセレクトして買い付けられています。その種類は毎年増え続け、今ではなんと350種類以上に!さらに驚きなのは、その殆どを自社でこうして在庫しているということです。
その日に製作する受注分の生地の反を先ほどの保管スペースから持ちだして、エレベーターで1フロア下の「裁断」の作業場にカートに載せて運び込みます。勿論このフロアも土足厳禁なのでとっても綺麗。
裁断はこのような巨大な作業台の上に生地を広げて行われていました。
型紙に合わせて切っていくので簡単そうに見えますが、時には型紙に合わせるのではなく、生地の特性を考慮して微妙に裁断するラインを調整しているのだとか。将来的には自動裁断機の導入を検討していたりもするそうですが、職人の経験値による手ばさみでの裁断の場合、350種類以上に及ぶ生地それぞれの伸縮性や性質にこうして柔軟に合わせることができるという利点があるとのことでした。
1台分の裁断が全て終わると一式でまとめて、さらに1フロア下の「縫製」の作業場へと運ばれます。
縫製のフロアです。何種類ものミシンがありましたが、まずはロックミシンから。「ウーリー」と「スパン」という2種類の糸を組み合わせて裁断した生地の端のすべてをまずはロック加工していきます。こうすることで生地がほつれるのを防ぎ、作業性と耐久性の両方を上げられるのだそうです。
ロックミシンを掛けた生地がこちらです。白糸で生地の周囲が完全にロックされています。
また、ファスナー口などの大きな負荷が掛かる部分には、こちらの専用ミシンで生地が裂けないよう「かん留め」という補強を行います。
ファスナー口がこれ以上裂けないように、端部に「かん留め」が縦に施されているのがお分かりいただけるでしょうか?細かい部分ですが、長く使用する為に必要な耐久性や強度を、あらかじめ持たせて作るのはフレームと同様の思想です。
こちらはレザー専用のミシン。レザーのカバーの縫製は生地と比べるとやはり難易度が高いようで、工房内でも限られたベテラン職人が任されるそうです。レザーの場合はダブルステッチで縫うことで強度を上げてあるそうですが、同時に見た目の高級感もぐっと上がって見えます。