03. ウェービングテープ貼り


「一生モノの座り心地」を実現させる重要素材の一つがこのウェービングテープです。工房創業から間もなく、国内で流通しているウェービングデープの性能に疑問を持った担当者は、もっといいウェービングテープはないのか?とイタリアに探しに行ったそうです。そこで見つけたのが弾発性が優れ、ホールド感が良く、たわみが少ない、非常に高い性能品質を持ったこのテープでした。これは技術流出を防ぐためイタリア国内の最高級家具ブランドでしか使用されることを許されなかった最高品質グレードのテープで、それの輸出と使用を許可して貰えるよう交渉してきたのだそうです。


そんな直接交渉のかいもあってこの緑の最高グレードのウェービングテープはソファーズの工房が日本独占使用なんだそうです。組み立て工程から上がってきたフレームにいよいよこのテープを貼って行く訳ですが、ここでも木工と同じくタッカーを使用します。


このテープのフレームとの接合には60mm幅のテープに対しタッカーが15本前後打ち込まれています。しかも良く見ると少し斜めに角度を付けています。ウェービングテープは細いゴム糸に繊維を巻き付けたモノを織り込んで帯状にしたものなので、この繊維の織目とは異なる斜め方向に隙間なく打ち込むことで、負荷が掛かりやすい接合部の損傷を防ぐのだそうです。


テープの弾発性能を十分に発揮させるには、あらかじめテープにテンションを掛けた状態でフレームに張り込む必要があります。その方法としてまず片側をタッカーで固定したテープを軽く引っ張り、ある決まったテープの長さの所にしるしを付けます。


そして引っ張ってテープを伸ばし、しるしが任意の長さまで伸びた所でタッカーでテープを固定します。この引っ張る際の力がおよそ20kg。つまり一本あたり20kgのテンションをかけたらどのぐらい伸びるのか予め逆算してしるしを付けていたわけです。


縦方向にテープを貼り終わったら、今度は横方向にテープを織り込みながら格子状に貼っていきます。


こうしておよそ1台あたり16~17本のテープが貼られるのですが、これはイタリアのメーカー推奨値よりも狭いピッチにしているのだそうです。また、このピッチや密度を変化させることで、機種ごとに最適な座り心地をコントロールしているそうです。


ウェービングテープを貼り終えたら、アームフレームを取り付けるため、隣の組み立て作業場にまた戻します。


ボンドをしっかりと塗った後、ジョイント用のボルトをガイドに接合します。


ジョイントボルトは最初は電動工具で締めますが、最後はやはり一つ一つ確認しながら手で増し締めして行きます。アームフレームが付いたら、フレームの組み立ては完了です。